その時すでにリニアモーターカーの実験線はあったけど、一度も走行する姿を見ないままに4年間を終えてしまった。
と思っていた。
違うんだ。
きっとリニアモーターカーは走っていたんだ。
ただその走っている姿を俺の眼が捉えられなかっただけ。
時速500キロ超は一瞬の中のさらに一瞬、くらいのスピードで通り過ぎていく。
ここは山梨県立リニア見学センター。
展示車両と向き合う息子。
リニアモーターカーを実用で利用する世代になるはず。
その時、今日の日のことを思い出してくれるだろうか。
車体は電車を離れて、飛行機に近い。
速さを追求すると、帰結していく形があるということか。
全車指定席で運転する、ということは決まっているらしい。
名古屋開業時かそれとも大阪まで繋がった後なのかは分からないが、リニアが開通したら東海道新幹線からのぞみ号が姿を消すらしい。
速達性はリニアで、というまあ当然の話だ。
その時、のぞみ号に冷遇されてきた静岡県民は何を思う。
「こだま」「ひかり」と速さをイメージする名称。
「のぞみ」には抽象性を加えることで何かをごまかしたような印象を持っていた。
リニアの名称はどうするよ。
公募しちゃえばいいんだろうけど、路線を変えて「富士」あたりに決着しそう。
「さくら」は九州新幹線が手放さないだろうし。
品川から名古屋までが開業するのが2027年。
一番列車でお会いしましょう。