工業地帯を行く鶴見線には分岐があって、単独の末端駅が3つ存在する。
海芝浦、大川、扇町。
猫が住んでいるのは、扇町。
扇の末広がりのように、工業地帯が発展することを願ってつけられた駅名なのだという。
それが扇町。
いったい何匹の猫がこの駅にいたのだろうか。
餌付けはやめて、というような貼り紙もあったが、実際には餌が置かれていて公認の存在になっているようだった。
周囲は工場や倉庫ばかりの立地で、こんなところで猫駅長を任命しても特に何も起こらなそう。
猫たちも、きっとフリーの猫であり続けたほうが幸せ。
通勤客が目当ての鶴見線、あえて土曜日にやってくるのは乗り鉄然とした人たちばかり。
自分だってその類。
猫たちの目に乗り鉄はどう映っているのだろうか。
陽に当たる猫。
「猫はこたつで丸くなる…」の猫にとって、おそらく春は歓迎すべき季節。
しかしこの猫たちはどのようにして冬を越してきたのだろう。
そんな扇町駅。
電車は10分も停まらずに折り返した。
俺もここに来ることだけが目的だったので、一緒に折り返した。
せっかくの鶴見線、こちらは有名な海芝浦駅にもやってきた。
東芝社員の通勤用の駅として、存在し続けることができるのだろうか。
そして恐ろしげな国道駅で降りて歩いた。
半日旅、おしまい。
あ、今日は猫をたくさん見たけど、鳩も。
鶴見線は、やたらと猫と鳩を見かける路線だった。