11月になったら急に風景まで寒々しく見えるようになった。
所詮、ものの見え方なんぞ気分で変わってしまうのだと思った。
身体も心も疲れていて、毎年この時期になると何とか年末まで逃げ切ろうという一心になる。
何とか逃げ切りながら生きてきたが、近々逃げ切れない年がやってくる確信がある。
その時俺はどうなっているのか、そんなことに想像力は使わない。
たかだか俺のことだから。
山田太一の『異人たちとの夏』の中で「てめえでてめえを大事にしなくて、誰が大事にするもんか」というセリフがあった。
俺は自分が嫌いでたまらない。
嫌いな自分を大事になんかしない。
逃げ切れない年も、それですべてが終わると思えば悪くない。
それに逃げ切れない年は、今年かもしれないし。