追憶のヴァンフォーレ甲府

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大学時代、今より歳が半分くらいだった頃、都留で中学生の女の子の家庭教師をしていた。
田舎から、さらに見知らぬ田舎に出てきた未成年ボーイと、中3の女の子。
「お母さんが来たら勉強教えてるふりしなよ」
「給料欲しいんでしょ。もっと賢そうな顔したほうがいい」
圧倒的に中3女子が主導権を握っていた。
ろくに勉強など教えることなく、中3女子は勝手に学んで、勝手に合格して、高1女子になった。
その後どうしているのかは、知らん。
 
そこの家のお父さんが何やら公務員で、都留から甲府まで通っていた。
山梨県庁か、甲府市役所か。
紳士だがなかなか笑わないお父さんに、一度「名前を貸してほしい」と言われたことがある。
保証人?いや、俺は学生だし未成年だし…
公務員は副業禁止らしいから、何かその線で…
と思ったが、ヴァンフォーレ甲府のサポータークラブに入ってほしいのだと言う。
ヴァンフォーレ甲府が一番のピンチを迎えていた頃。
J1で戦う日が来るなんて、誰も思っていなかった頃。
甲府の八百屋のオヤジにすら、存在を「無駄」と言い切られてしまっていた頃。
俺はヴァンフォーレ甲府のサポータークラブに、自腹で入った。
その分の金額は、その月の給料にそっくり上乗せしてくれていた。
仕事上のノルマだったのか、それともお父さん個人の志だったのか。
とにかく俺はヴァンフォーレ甲府のファンクラブに入った。
チームは存続し、今では地域密着のモデルケースのように語られている。
 
海野社長は、去年都留文科大学で講演をしてくれたらしい。