新年あけましておめでとうございます

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新年、あけましておめでとうございます。

 

「今年もよろしくお願いします」と続けないのは、自分自身に今年を全うする自信がないからです。

仕事でも遊びでも、先に大声であれこれ言い出しておいて、面倒になると途中で消えてしまうタイプ、嫌いでしょ?

好きなわけないでしょ?

俺もそういう奴は呪いたいくらい大嫌い、言い出しっぺは最後まで見届けろよ。

と強気に出たところで、間違いなく今年の俺は途中で壊れるのです。

そして消えます。

壊れるのが身体なのか、精神なのか、全部ひっくるめて放り出してしまうのか、そこはこれから決定されます。

「今年の○月○日まではよろしくお願いします」と予定日も未定な状況なので、そもそも全般よろしくお願いするのをやめちゃおうという話なのです。

 

去年の、特に春がしんどかったのです。

それまで「無能は消えろ」の世の中だったのですが、「どうせ消えるなら一丁コロナに自爆テロしてから消えてくれる?」の流れに変わったのです。

使える者は死人でも使え。

火葬場で「どうせ焼くならこれも一緒に」とゴミやらなにやらと一緒に棺桶に詰め込まれる感覚です。

そういう発想、もしかしてエコなんですかね?

緊急事態宣言下の荒んだ街に丸腰で放り出されて、これまでより余計に働かされて、命の価値はどんどん下がり、どうしてか株価だけが上がり見知らぬ誰かは豊かになっている。

今の自分が生きているのは認識しているけれど、実質は去年の春で死んでいます。

そして今年はきっと実質が本質に追いつきます。

 

やっぱり「今年もよろしくお願いします」は言えんなあ。

世界はそんなに難しいものではないのに、誰も大した人間でもないのに、そう思っていたのにこぼれ落ちてしまったんだから、すべては思い上がりだった。

情けない。

恥ずかしい。

みっともない。

愛せなかった2020年

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東京都は31日、これまでで最も多い1337人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。都内で1日に1000人を超えるのは初めてで感染の急速な拡大に歯止めがかかっていません。また、入院患者も過去最多で、重症の患者も緊急事態宣言が解除されたあとでは最も多くなるなど、医療提供体制のひっ迫の度合いが増すことも懸念されます。

NHKニュース)

仙台で聞いてもしんどいニュースだった。

一気に1337人か。

ここまでいくと検査方法や陽性率にもはや興味が向かない。

なんとなく意識を楽にさせてくれる情報を探しにいく気にもならない。

そしてこれから、その東京に帰らなくてはならない。

 

2020年はマスクの年だった。

年始の頃はまだマスクをしていなかったはずだが、それでも感覚としてはずっとマスクの一年間だった。

俺は2020年にうんざりしていたけれど、2020年の本当の顔を知らない。

なにしろずっとマスクだったからだ。

2020年には恨み辛みばかりだった。

すべてを2020年のせいにしていた。

残り時間が短くなって、紅白歌合戦も始まって、薄情にも今になって申し訳なく思う。

本当の顔を知らず、近づいて言葉を交わしたこともなく、そのくせに2020年を嫌っていた。

少なくとも一方的に嫌うのは冷淡すぎた。

もっと2020年を大切にしてやればよかった。

俺はまったく、2020年を愛してやることができなかった。

浪江町のサウナ

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常磐線の浪江駅はいかにも国鉄らしい佇まいで好ましかった。

ただ俺と一緒に降りた客は他におらず、それに駅員もいなかった。
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駅からの景色は荒涼としていた。

空き地ばかりで、所有権を主張する不動産屋の立て札が何本も刺さっていた。

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外壁のブロック塀は残っていても、建物はきれいさっぱり消えているのがよくあるパターン。

これは解体を希望すると国費が出る制度があったことに由来する。

タダならば、と誰しもが喜んで解体を希望したなんて話は、どこにもない。

思い出の詰まった我が家が、放射性廃棄物として処理される現実。

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2011年の東日本大震災があってから、何年か経った頃。

職場から浪江町に1人か、もしかして2人か、派遣されて仕事をする話があった。

俺は選ばれなかった。

結婚していてまだ子どものいない身は、除外される属性だった。

選別自体が酷いというのはまずあるとして、この地で長い時を過ごすことで人体に影響があるのではないか、それによって生殖機能を失うのではないか、放射能とはそのように作用するのではないか。

そう思われていた時代だった。

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結局、本当のところはどうだったの?

なんの作用もないのなら、故郷を離れた人たちが救われない。
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珍しく新しい建物があるかと思えば売り物件。

浪江町にはかつて2万人の生活があった。

全域に避難指示が出され、年月を経て徐々に解除され、今この地に戻ってきているのは1千人ほどだという。

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店は更地になっても、商工案内図だけは残り続ける。

これ、おそらく意志を持って残しているのだと思う。
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バスが来なくなったバス停。
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地面に張り付いた乗用車。
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浪江駅近くのホテルには「公衆浴場」の文字があった。

しかしこのホテルは復興に関する工事を行うJVの寮になっているらしい。

とてもとても、サウナに入ってみたいなんて言う気にならん。
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雨の中を歩くと「いこいの村なみえ」の看板がある。

ここはかつての浪江町民が戻ってくるために用意された施設。

しかし宿泊と入浴は、万人に開放されている。
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入浴料500円、対流式ストーブのサウナはカラカラの体感90℃弱で……などとここで品評するのは野暮だろう。

ただ水風呂は足先から痺れるくらいにキンキンだった。

これは季節によるものと思われる。
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俺は天才ではないし、博愛の気質でもないので、他人の思いを想像する能力は弱いかもしれない。

それでもある日突然バラバラになって、故郷を失ってしまった子どもたちに思いを馳せるとしんどくなる。

炭鉱の街と人間の病み

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今年の年末はどこにも行けねえなと思ってた。

もちろんコロナのせい。

あいつのせいで許せない一年間になってしまった。
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それがさ、せめてサウナくらい行こうと思ってプレジデントに向かっていたつもりが、上野駅で特急ひたち7号に乗ってしまって、いつのまにか炭鉱の街へ。

常磐炭鉱。

これなんて妻に説明すればいいの?
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山に挟まれた狭い平地に街が広がっていて、平地が足りない分は山に張り付けるように住宅や墓地なんかがあって、4年前に行った夕張みたいな景色だなと思った。

まあそりゃそうだ、あっちもこっちも炭鉱の街だもん。
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ドカベン』に出てきた、炭鉱の閉山が決まった斜陽の街から甲子園にやってきたいわき東高校。

決勝で、確か岩鬼に逆転ホームランを打たれての準優勝だったはず。
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炭鉱で働いていた人たちの人間関係ってどうだったのかね?

パワハラモラハラ、仕事が終わればアルハラ、そんな感じでなんでもあったんだろうな。
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世紀末は不穏な空気が流れ得体の知れない出来事が起こる。

そんなイメージで語るとするならば、今は本物の世紀末よりも世紀末らしい。
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本当に、今日の朝までは静かに年末を過ごすつもりだったんだ。

それが思い切ってここまでやってきたのは、年が明けたら本格的にどこにも行けない世の中がやってくる、それを確信したから。

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道路の端の側溝から白い煙が上がってんの。

いわき市の湯本のあたりは炭鉱の街で、温泉の街でもあるから。

ずっとマスクをしていれば、白い息さえ実感できない冬のままで終わる。

煙を見ただけでそんなこと考えたりするんだから俺は病んでる。
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俺だけじゃない。

もうたくさんの人が病んでる。

この一年間で失ったものの大きさ、それと張り合うだけのストレスの大きさ。

もう手遅れです。

だからあなたの治療は諦めてください。

2021年のトレンドは医療崩壊です。
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ある程度コロナがなんとかなっても、2020年に失くしたものを取り返そうとする2021年になると思うのです。

しかし失くしたものは簡単に返ってこない、時の流れは取り返せない。

そして人間は失くしたものを無理矢理に取り返そうとした時に病む。
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神なんていないでしょ。

保証する。

クリスマスが終わったから年越し蕎麦を食べた

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東京都は26日、都内で新たに10歳未満から100歳以上までの男女合わせて949人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。
1日の発表人数としては、24日の888人を上回ってこれまでで最も多くなったほか、12日連続で曜日ごとの最多を更新しました。
また、26日までの7日間の平均は711.4人と初めて700人台となり、16日連続で最多を更新しました。

NHKニュースウェブ)

毎年、クリスマスが終わって東京からだんだんと人が減っていく雰囲気が好きだった。

今年もなんとなく人が減った様子はあるのだが、それは帰省や旅行が要因ではない。

それにしても949人って、もう感想すら浮かんでこない。

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カプセルイン大塚は、一体どこを目指しているのかわからない開発中の大塚駅前にあることで、よりいい味を出せていると思う。

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ギリギリの午前中にイン。

浴室には人がおらず、サウナ室ではストーブが小さくバチバチいっているのをずっと聞いていた。

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クリスマスが終わったのだから新年を待つしかない。
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クリスマスが終わったから年越し蕎麦を食べた。
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明日は有馬記念がある。

有馬記念がダメでも東京大賞典がある。

東京大賞典がダメでも高知県知事賞がある。

金にこだわっているのは、まだ資本主義の中を生きている証拠だと思う。